潜魂第九回 山ノ内祐子さん しものせき水族館

潜魂第九回

2011年12月14日

著名人のダイビングに対する考えを紹介形式でリレーしていくこの連載。

第九回目は、下関市立しものせき水族館展示部魚類展示課に所属し、 トラフグやマンボウの飼育を担当されている山ノ内祐子さんです。

山ノ内祐子

プロフィール

お名前

お名前:山ノ内祐子 (やまのうち ゆうこ)

略歴

1979年 千葉県館山市生まれ、福島県福島市育ち。

東京水産大学(現東京海洋大学 )水産学部資源育成学科卒業。

卒業後、アクアマリンふくしまで、海獣類やオホーツク海の生き物を担当。

現在は下関市立しものせき水族館展示部魚類展示課に所属し、トラフグやマンボウの飼育を担当しています。

 

小さい頃から好きな生き物は、インドカエルウオとシャチ。

今は、やっぱり担当しているフグの仲間たちが、実際に海でどのような生活をしているのか興味があります。

また、山口県内でのヒガシナメクジウオの採集を目標にしているので、大潮の日には干潟をうろうろしています。

 

マンボウ

フグで有名な下関。しものせき水族館でも数多くのフグ科の魚が飼育されている

ダイビングを始めたきっかけ

大学入学後、すぐに入部した水産生物研究会は、素潜りで生き物を探し、研究するという部でした。主なフィールドは、神奈川県浦賀市観音崎と千葉県館山市の坂田、そして、年に2回渡嘉敷島と座間味島で合宿がありました。

 

私は「カエルウオとニセカエルウオの外部形態の比較」をテーマに研究を行っていました。私の場合、素潜りというより磯を這ってばかりいたので、ウエットスーツがぼろぼろでした。今でも覚えているのは、物凄く波当たりが強い日、坂田の磯で岩にしがみついて必死にカエルウオの採集をした事です。私は岩にしがみついていないと流されそうなくらいなのに、目の前のカエルウオは、小さな腹鰭で体を支え、時々尾鰭を振るだけ。そして平気な顔で(まあ、カエルウオはどんな時でも平気そうな顔付きなのですけど…)岩に生えている藻類を食んでいました。くーーっっ!何て呑気な!と思ったのですが、その様子を見て更にカエルウオに魅かれていきました。こうしていつもカエルウオを追っていた私は、いつになっても素潜りが上達せず、生き物をじっくり観察することができませんでした。

 

もっと近くで、生き物を(そしていろんなカエルウオの仲間を!)観察したいと思ったのが、ダイビングを始めたきっかけです。ライセンスは阿嘉島で取得しました。リュウキュウハタンポのようなふくらはぎを持ったインストラクターさんで(元気かなぁ…)、楽しく勉強させてもらいました。

 

チンアナゴや、漁礁で見たツバメウオ、オーバーハングで見たフタイロカエルウオが印象に残っていますが、サンゴの間で生活する小さな甲殻類を見せてもらった時には、ライセンス取ってよかった~~、と思いましたね。

 

今までで、一番感動した海

もう10年も前になりますが、まだライセンスを取得する前に行った、沖縄県久高島の海です。できるだけたくさんカエルウオの仲間を観察する、それだけが目的でした。実際には大した種類を観察することはできませんでしたが、サンゴ礁で生活するたくさんの生き物をそこで見たのがきっかけで、生き物に対する視野が広がっていったと思います。

 

それ以来沖縄に行ったのはわずか2回。いつの間にか水槽で潜る本数が上回ってしまいましたが、たまに行く山口県内の海でも、ハッとする小さな感動があります。マガキガイの放卵の瞬間、めいっぱいポリプを開くウミトサカやヤギの仲間、どこからかひらひらとやってきたオビクラゲ…。風景として見過ごしてしまいそうなものに気付いた時、いろんな生き物が持つ素晴らしさを、もっともっとたくさんの人に伝えたいな、と強く感じます。

 

水族館で働き始めて10年近くになる今でも、楽しい事、大変な事は何ですか?とよく聞かれます。お客様に「へぇ!そうなんだ!」とか「これ、スゴイ!」と言ってもらえるような展示を考えている時は、楽しいというか、わくわくします。それから、時々漁師さんの船に乗せてもらうのですが、網上げの時は、今日はどんな生き物が入っているかな??と、わくわくします。時々スルメイカ地獄だったりするんですけど…(今書いていて気付きましたが、網上げの時の気持ちは、なんとなくエントリー時に似ているような気がします)。

 

また、ある魚の水槽内産卵がなかなか上手くいかず、産卵床や環境をあれこれいじって、やっと産卵した時は、「きたーーっ!!」と思います。産卵するまでは発想が浮かばず大変でも、産卵した瞬間、その過程も楽しかったと感じてしまうので、あまり大変な事はないのです(笑)。ちなみに、孵化した魚の成長を見るのも、これまた毎日の楽しみです。

 

胴長

水槽内で生物が繁殖する喜びは格別、という山ノ内さん

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