
実際に起こった潜水事故例から、どうすれば対応できたか、どこが問題だったかをベテランインストラクターが分析しました。
※事故例はDAN JAPAN発行「平成15年 潜水事故の分析」から抜粋
ダイビングスタッフおよびダイビングゲストなど計26名は、事故発生場所であるダイビングポイントに到着しアンカリング後、26名全員が2グループに分かれてダイビングを開始しました。
ダイビングを終えて浮上しましたが、ダイビングボートはアンカーロープが切断され流されてしまっていました。
4名は付近のダイビングボートに救助され、残り22名は自力で岸にたどり着きました。
インストラクターの答え:
スタッフ(インストラクター)が何名で、それに対してゲストが何名振り分けられていたのかわかりませんが、ひとつのグループ人数が多すぎるのが問題点ですね。
インストラクター(ガイド)の 経験にもよりますが、どんなにベテランでも安全をキープできる人数比を守ることが重要だと思います。
またボートキャプテンの対処も遅かったようですね。ココも危機管理の認識が薄いと思われます。
休日を利用して、ダイビングスクールのインストラクターのアルバイトをしていた事故者(20歳代・女性)は、ボートエントリーのインストラクター養成のための訓練を5名で実施していました。
訓練は水中でパニックになった人を救助する想定で、事故者がパニックになった人の役として、水中でレギュレーターを口から外し緊急浮上したところ、水面下数mのところで酸欠によるブラックアウト(脳梗塞)の状態になり、直ちに水中にいた仲間に救助され船上に上げられ、救急車で病院に搬送され、約1ヶ月の入院加療診をされました。
インストラクターの答え: 緊急浮上やレスキューのトレーニングなどでも、実際にレギュレーターを外してすること自体が大きな問題です。
レギュレーターをしながらはもちろん、息を少しずつ吐きながら注意深く実施することが大切です。
レギュレーターをしていても、浮上時に息を止めていたら、浮上を止めることも必要です。圧の変化に対するリスクを認識しないトレーニングは絶対にしないことですね。レギュレーターをしていることで、苦しくなったら空気を吸えますし、水を飲むことも避けられます。
事故者(30歳代・男性)は、仲間ら4名とともに流氷下でエントリーを開始しました。
エントリー直後に何らかの原因によりBC内に空気が送り込まれ浮上し、流氷下に背を当てもがいている事故者を仲間のダイバーが発見、直ちに流氷上に引き揚げました。
仲間のダイバーは人工呼吸を実施し、その後事故者は病院に搬送され入院治療を受けたところ、後遺症などはなく退院しました。
インストラクターの答え: 仲間の適切な対処が、友人の命を救った例です。
浮上の理由がわかりませんが、器材(この例ではBC)の事前のメンテナンスチェックがされていなかったかもしれません。塩噛みによる、インフレーターのフリーフローなのか、またはスキル不足なのか…。
流氷と言う特殊な環境でなくても、器材の事前チェックと久しぶりのダイビングならば、アップデイト(リフレッシュコース)を事前に受けたり、レベルにあった海洋環境に信頼できるインストラクターと潜るなど、様々な意味での自己管理が大切だと思います。
事故者(20歳代・男性)は、ダイビングショップのインストラクター2名、ゲスト2名らの計5名でダイビングポイントにてダイビングを開始しました。
開始約10分後に最大深度約40mまで潜水し、同深度に約2分留まった後、ゆっくり浮上しましたが、水深約30m付近で事故者が右手の異常を訴えたため、インストラクターと事故者の2名で浮上することになりました。
水深約5m付近で、インストラクターが減圧のため時間をかけてゆっくり浮上しようと合図をしましたが、事故者は再び右手の異常を訴えてインストラクターの減圧指示を無視して浮上しました。
事故者は船上で意識が朦朧としていたため、携帯用酸素ボンベにて酸素吸入の応急処置後、病院に搬送されました。
インストラクターの答え: 大深度潜水は確かに40m(団体により39m)までと定義されています。しかし、通常の最大深度は30mとされています。
このゲスト達の経験やトレーニングレベルを見た時に、40mにストレスなく潜れると引率インストラクターは思ったのでしょうか。
透明度や水温なども、場合によってはダイバーにとってストレスの原因となります。結果として、インストラクターのリスク管理が甘かったことは事実です。だろう運転は事故の元と言う交通標語ではないですが、「大丈夫だろう」はまさしく事故のもとです。また、40mに潜る意味がどこにあったのでしょう。
事故者(50歳代・女性)はダイビングボートにて出港し、船上からエントリーしてインストラクターと2名でダイビングを開始しました。
事故者は予定通りにダイビングを実施し、安全確認を実施した後浮上しました。ボートに乗船するべくハシゴ を上がっている最中、突然後方に倒れたことから、インストラクターらにより船上に引き揚げられ、船長が119番通報するとともに事故者に心肺蘇生を施しつつ病院に搬送されましたが、医師により死亡が確認されました。
インストラクターの答え: 詳細はわかりませんが、ダイビング前から体調が優れないなどの前兆はなかったのでしょうか。
自覚症状があれば、自分から自己申告しダイビングを中止するというのは義務であり権利なのです。
また、他覚症状としてインストラクターが確認できなかったのでしょうか。書類や口頭で確認を取ったのでしょうか。 ゲストの自己管理と、インストラクターの危機管理は双方とも大変重要です。
事故者(70歳代・女性)は、ダイビングのCカード取得のためダイビングツアーに参加していました。
インストラクターと事故者および参加者1名の計3名でバディブリージング中、事故者が手で×印を出したことから、インストラクターが両名を抱えて浮上しました。
浮上後事故者に意識がないことから人工呼吸をしながら海岸に引き揚げ、手配の救急車に引き渡しました。事故者は、救急車到着までに意識を回復し、病院に搬送され医師の診断の結果、湿性溺水で3、4日の入院経過観察が必要であると診断されました。
インストラクターの答え: バディブリージングは現在、教えなくてもいいスキルです。オクトパスを装着するのが当然の現在のダイビングスタイルでは、基本的に必要のないスキルです。
また、実際のエアー切れの緊急時にバディブリージングを成功させることは稀なことでしょう。ましてや、この事故者が高年齢と言うことを考えたら、インストラクターのヒューマンエラーであることは間違いありません。
事故者(20歳代・男性)は、ダイビングゲスト5名とともにインストラクターに引率され、ダイビング(最大水深17m)を行っていました。
水深10mの海底でダイビングを終え浮上しようとした際に、事故者がもがきながら急浮上を始めたため、インストラクターが事故者を制止するために後を追って浮上し確認したところ、事故者のマスク内部に海水が浸入し、パニック状態となっていました。
その後も事故者はもがきながら途中でマスク、レギュレーターを外して海面に浮上し、直後意識を失ってしまいました。
インストラクターおよび船長が直ちに事故者を船内に収容し、人工呼吸および心臓マッサージを継続しつつ病院まで搬送しましたが、医師により死亡が確認されました。
インストラクターの答え: マスクに水が入ったために、パニックに陥ったと言うことですね。ダイビングの終了時なので、マスクが合っていなかった訳ではなさそうです。
また、深度などの問題でもなさそうです。しいて言えば、トレーニング不足が原因と言えそうです。やはり、久しぶりのダイビングや初心者の頃は事前のリフレッシュが重要です。ダイビングは経験とトレーニング(ステップアップ)が大切なのです。
事故者(60歳代・男性)は、ダイビングボートに乗船して出港し、インストラクター、友人の計3名で潜水開始、水深約10mまで潜水しました。
約15分後にボートのアンカーロープを伝わって浮上中、事故者が水深約2m付近で突然レギュレーターを外しているのをインストラクターが発見し、レギュレーターを口にくわえさせようとしました。しかし意識がなくくわえることができないため、緊急浮上し船上にいた船長とともに急いで船内に引き揚げ心肺蘇生を施しつつ出港地に帰港しました。救急車に引き継ぐも、医師により死亡が確認されました。
インストラクターの答え: 意識をなくしレギュレーターが外れたのか、レギュレーターが外れ、意識をなくしたのか。この報告からは、意識をなくしたのが先のようですね。ダイビングに限らず、健康管理は大切です。
事故者(60歳代・女性)は、友人ら4名とともにダイビングボートに乗船し、ダイビングを開始しました。
水深20mで事故者が右手で胸を打つ動作をし、呼吸不調を示す合図を行ったため、インストラクターと同行者は浮上を開始しました。浮上を開始してから1、2分後、事故者の吐き出す気泡が異常に増えた後、動作が緩慢になり、気泡が極端に減少しました。
インストラクターは事故者の襟首を掴み、海面まで浮上後、船上に引き揚げました。しかし事故者は呼吸停止、意識不明の状態で、救急車に引き継がれましたが、医師により死亡が確認されました。
インストラクターの答え: タンクバルブが完全に開放されていなかったのか、残圧が少なくなったのを知って、パニックになったのか。
エントリー前のバディチェックがされていなかったにしても、インストラクターが確認すべきだったと思います。また、残圧が少なくなっていたとしても、すぐに浮上に移るよりも落ち着いてもらうことが先決です。落ち着いたら、状況によりオクトパスを渡すなどして慌てずに浮上してもらうことが大切です。
事故者(50歳代・女性)は、友人ら8名およびインストラクター2名とともに、1本目のダイビングを行い、休息後、再度2回目のエントリーを開始しました。
その後、海中で友人と目が合い笑い合った拍子にレギュレーターに海水が入り、クリアできずパニック状態になりレギュレーターを口から外してしまいました。
インストラクターは速やかにレギュレーターをくわえさせ、気道を確保しながら一緒に浮上し、ダイビングボートに引き揚げ救助しました。事故者は病院に搬送され、数日の入院加療が必要と診断されました。
インストラクターの答え: 事故者の問題はスキル不足です。ステップアップコースなどを受け、常にスキルアップを心がけるといいでしょう。
また、インストラクターの適切な対応が出来ていたために、大事にはいたらなかったようです。
事故者は、インストラクター2名を含む8名でボートダイビングを開始しました。
事故者と友人はインストラクター1名と3名1組で潜水していたところ、突然、友人のマスクのストラップが外れパニック状態になったことから、インストラクターが同人を海上へ浮上させ船へ引き揚げました。
その後水深15m付近に留まらせていた事故者を迎えに行ったところ、同所におらず、水深23mの海底にレギュレーターを口から外した状態で横たわっている事故者を発見しました。事故者は搬送先の病院で医師により死亡が確認されました。
千葉: インストラクターが、ゲストだけを残して浮上したことが問題です。
この場合は、ゲスト全員を連れて浮上することが正解です。アシスタントがいない時に、ゲストだけを水中に残すのは絶対にしてはいけないことです。
事故者(60歳代・女性)はダイビングボートから潜水を開始しましたが、潜水終、了予定時間を過ぎても帰船してきませんでした。
他のダイバーが付近の海域を捜索しましたが、発見に至らず、事故者は行方不明となってしまいました。その後4日間、遭難位置付近の潜水捜査および海面捜査を実施するも発見できませんでした。
インストラクターの答え: この例は単独潜水ということでしょうか。ダイビングは必ずバディシステムを守ることです。
また、引率のプロのガイドと潜ることも大切です。ボートキャプテン、その他の周りの人たちにも責任があるでしょう。
事故者らはボートダイビングを行っていました。3ダイブ目はドリフトダイビングであったことから、インストラクターと同船船長は、浮上の際は、インストラクターがシグナルフロートを海面に打ち上げることなどを示し合わせて、ダイビングを開始しました。
予定時間を過ぎてもインストラクター他4名が浮上せず、またシグナルフロートもあたりに見当たらなかったことから、同船船長が118番通報にて海上保安庁へ連絡しました。
事故者らは北西に向いて漂流中のところを捜索中の海上保安庁のヘリコプターに発見され、ヘリに誘導されたダイビングボートに全員救助されました。
インストラクターの答え: 潮の流れを読み違えていたと考えられます。流れが速いと予測できた時は、フロートダイビングにする、ボートがダイバーの泡を追うなどの方法が考えられます。
ただ船長が早めに118番通報をしたことで、大事に至らなかった事は良かったことです。
水深約35mの海底に着底と同時にガイドを手招きし、ボードに「パニック」と書いた事故者(20歳代・女性)は、すぐ浮上を開始しました。
途中、水深約15mでレギュレーターを外そうとしたので、ガイドが押さえて浮上。ダイビングボートに収容し、心肺蘇生を実施しました。救急車により病院へ引き継がれましたが、医師により死亡が確認されました。
インストラクターの答え: ダイバーの経験やスキルレベル・環境などを無視し、35mの深度に連れて行ったガイドの危機管理の欠如です。
妻と2人で海岸から約50m沖合(水深約6m)にてダイビングを開始した事故者(40歳代・男性)は、気分が悪くなったためダイビングを中止し、浮上しました。
その後、付近にいたダイバー5名に岸まで搬送されましたが、救急車を待っている間に心肺停止状態となり、搬送先の病院にて、医師により死亡が確認されました。
インストラクターの答え: 体調の悪い時には、中止する勇気が必要です。ダイビングもやはり自己管理が基本です。
それぞれのダイバーの身近に起こったちょっとしたハプニング。それは少しの油断から始まっています。あわやという実際のエピソードから、事故回避のヒントを探ります。
キリモミ状態で、穴に吸い込まれてしまいました。
(神奈川県在住 Aさん)
大きな穴が開いているおもしろいスポットに潜ったときの話ですが、その穴は沖合と内海の間にあるため、潮通りが非常に激しかったのです。そのため地元のガイドさんに「あまり近づかないように」と言われていたのですが、少しくらいは大丈夫だろう、とタカをくくって近づいてしまいました。
そうしたら、アッという間に引きずり込まれてしまいました。もうそれこそキリモミ状態でどんどんと穴の奥に吸い込まれてしまったのです。
そして吸い込まれる途中、ガンガン壁面に頭をぶつけ、後頭部はしびれてきて意識はもうろうとし、上も下も西も東もわからないくらいぐるぐる回っていて、あれでもしレギュレーターを口から離してしまっていたら、もう完全にアウトでした。
幸い、穴を通る潮は、一旦止んで、その後今度は吐き出す方向に流れていたので、何とかその潮に乗って外に出ることができ、事なきを得ました。
<教訓>
ガイドのいうことを聞いて
むやみに穴に近づかないこと
穴はちょっとしたところでも危険が潜んでいます。特に、奥がどこかに通じているトンネルのような穴には潮の通りがあり、潮は広いところから狭い穴を抜けるため、流速が速くなっているので注意が必要です。
このエピソードでは、不幸中の幸いで穴の大きさが人が通るには十分な広さがあったため、壁面に頭をぶつける程度で済みましたが、もし穴の大きさがもう少し小さかったら、体中をぶつけるどころか、どこかに挟まって身動きが取れなくなっていた恐れもあるわけです。
穴に限らず地形が特殊なところは、潮の流れが周囲と違う場合があります。そのスポットのことを誰よりもよく知っているガイドの指示にちゃんと従っておくことが、一番の対策でしょう。
残圧計では大丈夫なのに、エアが来なくなってしまいました。
(埼玉県在住 Bさん)
何年か前に海外に行ったときの話です。その時は、まだ自分の器材を持っていなくて、現地のサービスでレンタル器材を借りました。
借りたときは「これ、結構古そうだな~」とは思ったのですが、大して気にせずそのままセッティングして海に出ました。
海に潜って40分くらいしたころ、チラッと残圧計を見ました。その時点で残圧計の針はまだ70ぐらいのところを指していました。それで 「もう少し行けるかな」と思い、そのまま続けていたのですが、突然レギュレーターが渋くなってきたのです。おかしいなと思い残圧計を見たら、針はまだ 70あたりを指しています。でもだんだんエア切れのように渋くなってきました。
「どうしてなんだろ? おかしいな?」と思ったら、本当にエア切れになってきてしまったのです。慌ててガイドに合図して浮上を開始したのですが、本当に焦りましたね。何とか安全停止もして上がれる程度のエアは残っていたので良かったですが、あの上がろうという判断が遅れていたらと思うとゾッとしますね。
その後、ボートに上がってから残圧計をチェックしてみると、なんと残圧計の針が70より下がらなくなっていたのです。
上は、エアのあるタンクに付ければ200ぐらいまではしっかり針が振れていました。だから、タンクにセットしてバルブを開けて確認したときは大丈夫だと思ってしまったのですね。その前にちゃんとゼロからスタートしているかどうかを確認しなければいけなかったのです。
<教訓>
器材に問題がないかどうか
潜る前に必ずチェック
どんなゲージもそうですが、しっかりと動いているかを確認しなくてはなりません。
残圧計なら、まずはやはりゲージの針がちゃんとゼロからスタートしているかどうかを確認します。それでタンクのバルブを開けて針が振れてエアがあるかどうかを確認します。
深度計なら潜る前は0mに針があり、潜るとちゃんとそれに合わせて針が振れるかどうかを確認します。
コンパスなら北をしっかり指しているかどうかを確認するようにしたいものです。特にレンタル器材で潜る場合は、潜る前にしっかり確認します。
海外では、古い器材を使っていたり、メンテナンス不足の器材を使っているところもたまにあるので、なおさら確認したほうがいいでしょう。
いつも使っている自分の器材ならそういうことも少ないかもしれませんが、それでも器材は機械なので壊れることもあることをお忘れなく。潜る前には、常に問題ないかどうかを、自分なりにチェックするべきなのです。
激流スポットで、みんな飛ばされてしまいました。
(千葉県在住 Cさん)
海外のダイナミックで有名なスポットに行ったときのことです。
僕が参加したツアーには、欧米人しかいなかったのですが、その欧米人のダイバーたちが、そのエリアの中でもかなり激しい流れの起こるスポットに潜りたいとリクエストしたのです。僕もそのスポットには潜ったことがなく、写真も撮ってみたいと思ったので、一緒に潜ることにしました。
1本目に、そのスポットに潜ったときも結構激しい流れがあったのですが、なんとかカレントフックを付けなくても撮影できるくらいの感じでした。こちらとしては、撮影もできたし満足していたのですが、ボートに上がると、他の欧米人たちは不満だったようで「つまらない。もっと激しい流れの時に潜りたい」と言い出したのです。
それで潮の流れを見て、もう1本潜ろうということになり入ったのですが、これがとんでもない激流だったのです。しかも向かって来る潮です。海底に着いたら、ほふく状態で岩にしがみついて前進していくしかないような状態でして、なんとサメがリーフに近づくと、リーフエッジのところでビュンと飛ばされるくらいすごかったです。こちらも撮影どころじゃなく、カメラが流されないように、傷つけないようにするのが精一杯でした。
ふと周りをみると、なんと他のダイバーたちがどんどん飛ばされていっているのです。幸い飛ばされてもアップカレントやダウンカレントではないので、しばらく流されたら落ち着いているようでしたが、こちらとしては、何でこんな時に入らなきゃならないんのだ、と思っていました。
結局、最後は僕を含めて3人だけがリーフエッジにたどり着き、カレントフックで身体を支えて魚を見ていました。すると、ブチっと音がして、横を見ると巨漢のアメリカ人が、トルネードに飛ばされる牛のように後ろに吹っ飛んでいってしまいました。ただその人は、飛ばされている中、笑って手を振っていましたけれど。
そしてついには、僕のカレントフックも切れて、やっぱりクルクル回りながら飛ばされてしまったのです。
<教訓>
はっきりと意思表示をしよう
また英語も少しはわかったほうがいい
このときは事故に至らなかったから良かったですが、一歩間違えば大惨事になりかねない状況だったようです。外国人には、ダイビングにアドベンチャーを求める人が多いということがよくわかるエピソードかもしれません。
ただ、このようなダイビングを無理して行うことはありません。他の人はOKでも、自分はそうじゃないと思ったら、 はっきりとノーを言うべきです。
また欧米人ばかりの場所などでは、ブリーフィングもすべて英語の場合がほとんどなので、その内容をある程度でも理解しないと、よくわからないうちに、そういったところに潜ることになってしまうかもしれません。ブリーフィングで出てくるような英単語ぐらいは、覚えておいたほうがいいでしょう。
群れを追いかけて猛ダッシュしたら、アッという間にエア切れになりました。
(岐阜県在住 Dさん)
海外のあるスポットでのことです。海の中で、ある程度自由に動いていいということだったので、被写体を探していたら、その時期しか見られないメアジの群れが少し先にいるのが見えたのです。
それを撮ろうと思い向かったら、その奥にツバメウオの群れが見えました。ツバメウオの群れは、普段はすぐに逃げてしまうのですが、なぜかその時は寄れそうだったので、メアジの群れを過ぎてその向こうまで行きました。
その時は、みんなが潜っているところからそんなには離れていないので大丈夫だろうと思っていました。エアは群れを追いかける前は80ぐらいあったので、問題ないと思っていたのですが、ちょっと追いかけて撮影したら、アッという間に針はグングン下がっていきます。
「これはまずい!」と思い、浮上するか、みんなのところまで行くか迷っていたら、ガイドが気付いてダッシュで寄ってきてくれて、バディブリージングをしてくれました。でもガイドもほとんどエアはなくなっていたので、二人ともかなり心細い思いをしながら浮上しました。
浮上してから、同じグループのベテランの女性に聞いたら、まだかなり多くエアが残っていたとのことだったので、「彼女のところに戻るべきだったかな」とも思いました。
でもそんなことより、サカナを追いかけるのにダッシュを繰り返してエアを思っていた以上に消費してしまったり、それに気づかなかったことを悔やむべきでした。つい撮影に夢中になりエアのチェックをおろそかにしてしまったことを、猛省しています。
<教訓>
グループから離れたりして
単独行動にならないように
まずは、本人も言っているように、エアのチェックをおろそかにしたのが問題ですが、そもそもサカナの群れを追いかけてグループを離れてしまったことのほうが大問題でしょう。さらに深刻な事態になっていた可能性もあります。
何かあったときに、ガイドやインストラクターなど助けてくれる人が来られない所に行ってしまうことは、単独で潜っているのと同じくらい危険なことです。
エアは、確かに女性のほうが長持ちすることが多いので、同じバディブリージングするなら、近くにいる女性に確認してみるのもいいかもしれません。
もちろんある程度スキルのある女性じゃないと難しいですが、男性だからみっともないと思わず、身を委ねることも必要です。ただ、やっぱりバディブリージングをするような事態にならないようにすることが一番大切です。
ガイドの指示に気づかず、一人だけ取り残されてしまいました。
(神奈川県在住 Eさん)
結構深めのスポットに行ったときの話です。
潜ったグループのみんなが見たいと言っていた珍しいサカナを見た後のことです。ガイドが「全員一緒に中層まで上がって、流れに乗ってドリフトで戻りましょう」ということを、持っていたボードに書いてみんなに見せ、「さぁ」ということで上がっていったのです。
でもその時、そのボードに書かれていたことに気が付いていない人がいて、一人出遅れてしまいました。少しするとガイドが気付いてその出遅れた一人の所へ戻っていきました。その時、僕らはガイドの指示に従い動かないようにしていたのですが、その中の一人が、今度は流されてしまったのです。出遅れたダイバーを連れて戻ってきたガイドは、今度は、流されてしまったダイバーを探しに行ってしまいました。
結局、流された人は、無事にエグジットポイントに戻る途中で見つかり、僕らも無事にエグジットできました。でもそんなアクシデントでエアもかなり少なくなっていて、僕らとしてもかなり不安な時間を送ることとなりました。
<教訓>
ブリーフィングをしっかり聞いて
ガイドの行動に注意を払おう
Eさんによると、エントリー前のブリーフィング時にも、どういった行動をするかは説明されていて、海の中でもさらにガイドが説明してボードに書いてくれたといいます。その出遅れた一人は、最後までその珍しいサカナに夢中で、ガイドの合図や周りのみんなの動きに気付かなかったのでしょう。
もちろんガイドも、ダイバーみんながその説明を確認して、行動を開始したかどうかをチェックするべきだったとも言えるので、出遅れたダイバーだけの責任とは言い切れませんが、それでもそのダイバーは、事前に行われた行動の説明に対して、いつ、どのタイミングで行われるかを、ガイドの行動に注意を払って見ているべきでした。
みんなが一斉にダッシュして、置いてけぼりになってしまいました。
(大阪府在住 Fさん)
海外のとある回遊魚で有名なスポットに潜った時の話です。
ドリフトではないのですが、中層をグルッと回って、その回遊魚を探しながら泳ぐような感じで潜っていました。その時は、かなり透明度が悪くグループの最後にいた僕は、先頭のガイドの姿がおぼろげにしか見えませんでした。
潜り初めて15分くらいした頃でしょうか、突然前のダイバーがダッシュし始めたのです。それも全速力で。たぶん目的の回遊魚を見つけたのでしょうが、あまりに急だったため僕は完全に出遅れてしまい、アッという間にみんなが見えなくなってしまいました。水深は25mくらいです。
それなりに僕もダッシュしたせいで、かなり息が上がってしまっていました。なんだか息苦しくてレギュレーターからの空気が全然来ないような感覚に陥ってしまい、どんどん焦り始めました。周りは全然見えない、レギュレーターからは必要な空気が来ない。半分パニックに近い状態だったのでしょうね。とにかく僕としては、上がることしか考えられませんでした。
何とか「急浮上はまずい。とにかく水面が見えるところまで行こう」ということだけは意識できたので、15mぐらいのところまで上がって少し落ち着けるようになりました。それからは徐々に浮上し、安全停止も自分なりに行って水面に浮上できました。幸いエントリーしたボートからはそれほど離れていなかったので、そのまま水面移動で戻りました。
<教訓>
事故を避けるためには
やはり自分で気を付けることが大事
このケースでは、ガイドや潜り方自体に問題があるのは明白ですが、さりとてそれを避けるにはダイバー自身が気を付けることも必要でしょう。誰に責任があるにせよ、万が一事故が起こってしまった場合、被害を被るのは本人なのですから。
この人の場合は、他のダイバーがみんなベテランで、そういう潜り方をするというのがわかっていたようなので、やはりそのダイビングはやめておいたほうが良かったのでしょう。
自分の技量に見合っていないダイビング、自信のないダイビングの場合は、それをちゃんとガイドに伝えてアドバイスに従い、それでも不安な場合はやめておく、というくらいの気持ちでいるべきです。
危うくアップカレントにつかまるところでした。
(東京都在住 Gさん)
まだまだ初心者だったときに海外のあるスポットに行ったときのことです。
マーカーブイに添って潜降していき、ある程度の深さに達してからは、ほぼ水平移動をしながら徐々に深いところへ移動していったのですが、その途中で耳が痛くなってきたのです。
潜降している途中から少し痛かったのですが、とりあえず耐えられる程度だったので、そのまま潜っていました。でも徐々に深度が下がるに連れ、どうにも我慢できなくなってしまい、少し浮上して再度耳抜きをして潜ろうと思い、グループを離れ浮上しました。
そうしたらガイドが慌てて僕のところに来て、浮上しようとする僕のフィンを引っ張るのです。僕は「耳が痛い」と合図をしたのですが、「ダメ」と首を振っています。僕にはどういうことかわからなかったので、しばらく耳が痛いと言い続けていたら、ガイドは、今度は僕の手を引いてエントリーポイントのほうへ戻らせて、そこで少し浮上させてくれました。そして無事に耳抜きをやり直してからは、無事にそのダイビングを続けることができました。
エグジットしてから、そのガイドに「あそこでどうして浮上させてくれなかったのか」を聞いてみたところ、「あの上ではアップカレントが起こっていて、たぶん浮上していたらつかまって流されていたよ」と言われました。
それを防ぐために、ガイドは浮上するのを阻止したのです。自分勝手に浮上しようとした自分は、実はかなり危険なことをしていたのだということを、そこでやっと理解しました。
<教訓>
決められたエントリーポイントで
しっかりと耳抜きして潜降しよう
Gさんは、まずはガイドに感謝しよう。やはりその海のことを一番知っているのはガイドなので、海の中ではガイドの指示にはしっかり従うべきということがわかったと思います。
今回のケースでは、耳抜きがちゃんとできていなかったにも関わらず、ダイビングを続行していたことに問題があります。中途半端に大丈夫だろうと続けて、どうにもならなくなってからいざやろうと思ってもできないこともあります。
特にかなり移動するようなダイビングの場合は、当たり前ですが、潜降に一番ふさわしいところをエントリーポイントとして設定しています。そのため、そこでしっかりと耳抜きをして潜降するようにしましょう。もし耳抜きがうまくできない場合でも、そこでなら多少時間がかかっても大丈夫なはずです(もちろんドリフトなど流れながらのエントリーではこの限りではないですが)。