
WWF(世界自然保護基金)は、100カ国以上で活動する民間自然保護団体です。
1961年に、絶滅の危機にある野生生物の保護を目的としてスイスで設立されました。
日本支部となるWWFジャパンは、その中で16番目として1971年に誕生しました。
現在では世界各国で研究者や市民団体、地域の人々が一体となりサンゴ礁の消失、地球温暖化などの環境問題に対する活動を展開しています。
海洋関連の活動以外に、森林、野生生物、有害化学物質など全部で6つのセクションに分かれ、環境保全を目指します。
これらの活動は、世界各地から寄せられた多くの人々の支援によって行なわれます。
現在、日本の会員数は約25,000人。欧米に比べるとまだまだ少ないのが現状です。
今回は、海洋関連の活動としてどんなことが行われているのか、海洋セクション担当の町田さんにお話を伺いました。
そこで現在取り組んでいる主な活動「サンゴ礁保護」と「ジュゴン保護」について紹介します。
会員になる
イベントボランティアになる
募金をする
署名運動に参加する
など様々な形でWWFの活動に協力することができます。

2000年4月、日本や世界のサンゴ礁保護を進める拠点となる施設「サンゴ礁保護研究センター(通称:しらほサンゴ村)」が、白保に設立されました。
現場に根ざした保護活動と調査に加え、環境教育や、展示物による普及活動などが展開されています。
世界最大級と言われるアオサンゴのある白保の海を守ろうと、現在WWFジャパンのスタッフ4名が常駐し、調査と保全に取り組んでいます。

白保のアオサンゴ
1.赤土被害対策
サンゴ礁に被害をもたらす「赤土」の流入は、大きな問題となっています。
強い雨が降るたびに地表から流れ出す粒子の細かい赤土は、一度水に混ざるとなかなか沈殿せず、長時間にわたって水を濁らせてしまいます。
すると、雨が止んだ後も日光が遮られ、サンゴは体内に共生している藻類による光合成ができなくなってしまいます。
それで栄養不足になり、死んでしまうことがあるのです。
また、直接赤土を被った場合も、サンゴは大きな打撃を受けます。
かつては、赤土がそれほどたくさん海に流れ込むことはありませんでしたが、自然が開発されてきた結果、赤土はサンゴ礁に大きな被害を及ぼすようになりました。
このような赤土被害に対処するため、赤土の発生源である陸上と、流出先である海での調査が行われています。
海域では、白保のサンゴ礁内に堆積した赤土の調査を行ない、陸上では特に白保海域への赤土の大きな流入源となっている轟川流域で、土地の利用状況を調べたりしています。
また、「月桃(げっとう)」という植物を畑の周りに植え、流出を防ぐ活動も行われています。

赤土で真っ赤になる轟川の風景

赤土を被ったサンゴ
2.サンゴのモニタリング調査
2007年の夏に起きた大規模な白化現象は、白保のサンゴ礁に大きな打撃を与えました。
白保では半数を超えるサンゴが白化し、7%以上(推定では11%程度)が死亡したと考えられています。
石垣島、西表島を中心とした八重山地方を襲った、この白化による被害は、過去最大規模の白化とも言われています。
初夏の降雨量や台風が少なかったことも白化の原因とも言われてきましたが、2007年を振り返ってみると、台風の影響はかなり大きく、追い打ちをかける形となったのです。
その影響か、サンゴ礁の沖合の調査地点で春と秋のサンゴの被覆面積を比較すると、平均で34%も減少していました。
この他にも、白化の原因にオニヒトデの被害などがあります。
WWFジャパンでは、サンゴ礁のモニタリング調査を続ける上で、これらの問題の対処法を考えています。

サンゴのモニタリング調査風景
3.白保の子供たちが、佐賀県鹿島市の子供たちと
「ふるさとの海交流会」を実施
しらほサンゴ村では、地元の子供たちにとって当たり前になってしまった「サンゴの海」を見つめ直してもらうため、ちょっと変わったイベントを実施しています。
有明海の干潟で有名な、佐賀県鹿島市の子供たちとの「ふるさとの海交流会」です。
この交流会で白保の子供たちは、環境の全く異なる干潟の海を訪問し、地域の人々や文化に触れることでいろんな体験をします。
これにより石垣島の外に出る機会の少なかった白保の子供たちは、ふるさとの海の貴重さに改めて気づくといいます。
一方、「干潟の海」に馴れ親しんだ鹿島の子供たちが、石垣島を訪れることもあります。
子供たちはサンゴ礁の海を見て豊かな自然に気づくと共に、自分たちの身近にある海への愛着を強くするようです。

白保で実施した交流会で「貝細工体験」をしている様子

「キビ刈体験」の風景
その他にも白保近隣にできる新空港にまつわるモニタリング調査、白保の集落や島内の方々を対象にした自然観察会などが行われています。
2008年は「国際サンゴ礁年」。
WWFジャパンは、国際サンゴ礁年サンゴマップ実行委員会のメンバーと共に、サンゴマップ作成を呼びかけています。
ダイバーやスノーケル愛好者のみならず、一般の方にも広く参加してもらうことを目的とし、サンゴの情報収集を行っていきます。
実は、サンゴの分布図は1996年に環境庁が発行したものが最後となっています。
それ以降、本格的な調査は行われてきませんでした。
今回の南西諸島以北も含めた広域的なサンゴ分布図が作られるのは初めてで、今後のサンゴ礁保全対策への基礎データとなります。
市民に広く協力を求めることで、豊富な情報収集が可能となることに加え、サンゴ礁に目が向けられる普及効果も期待されます。
サンゴマップ作成に参加するにはどうしたらいいの?
潜った場所のサンゴの有無を目視で確認
↓サンゴが海底を覆っていた割合、水中写真、位置情報などを、国際サンゴ礁年のウェブサイトに用意された情報入力用フォームに入力する。
募集期間は2008年4月下旬~12月31日まで

写真のジュゴンは「ちゅらごん」です。
WWFジャパンと、地元のジュゴン保護団体「ジュゴンの里」が、野生のジュゴンに名前をつけるキャンペーンを行ないました。
辺野古・大浦湾に姿を見せる一匹のジュゴンの存在を知ってもらおうと、2007年7月から10月の間、名前を募集しました。
国内外から寄せられたジュゴンの名前は、全部で3,242点。
学校や職場などでも呼びかけてくださった方がいました。
そして厳正な審査の結果、12月4日「ちゅらごん」に決定しました。
審査では、オス・メスのどちらにも使える名前で、誰もが呼びやすい名前であることが考慮されました。

モンベルクラブ グランベリーモール店(東京都町田市)で
ジュゴンネーミングキャンペーンを実施
・ちゅらごん、姿現す!?
今年3月2日、名護市嘉陽の沖合で「ちゅらごん」と思われるジュゴンが発見されました。
尾びれの傷の特徴からその可能性は高く、元気な姿がみられました。
1997年、沖縄県辺野古の沖合で、野生の生きたジュゴンの姿が確認されて以来、WWFジャパンとジュゴン保護団体はその保護に努めてきました。
このジュゴンは、那覇の防衛施設局が普天間基地の移設に関連して実施した調査の時に発見されたものです。
これをきっかけに、WWFジャパンとジュゴン保護団体は繰り返し日本及びアメリカ政府に対し、正確な環境調査を行うべきことを訴えてきました。
そして2003年9月、日米の複数の自然保護団体と共に、基地建設計画がアメリカ文化財保護法(NHPA)などに違反しているとして、アメリカ国防総省を告訴しました。
その結果、今年1月24日、カリフォルニア州連邦地方裁判所が、この計画がアメリカ文化財保護法(NHPA)に違反していることを認めた判決を出し、「ジュゴン裁判」で勝訴したのです。
これにより、ジュゴンに対する危害は回避されることとなりました。
WWFジャパンでは、「2010年を国際ジュゴン年」にしようと計画しています。
これは、より多くの人にジュゴンの問題を知ってもらうことを目的とした活動です。
詳しくはコチラから
↓2010年を国際ジュゴン年に
公式ホームページhttp://www.dugong2010.com/
「身近でできる環境保護は必ずあるので、ぜひ目を見開いて生活していただければと思います。
海に行った時ゴミを散らかさない、余計なものを買い込まないなど、自らの行動が自然とどう繋がっているのかを考えてみましょう。
またWWFから投げかける活動に対して、皆様から反応があることが大きな原動力となります。
署名でもアンケート回答でも何でもよいので、どんどん参加してもらえると嬉しいですね。」
海という環境だけを考えてみても、いろんな問題があることがわかります。
でも海を楽しむダイバーだからこそ、その環境を大切にしたいものですよね。
大きなことじゃなくても、自分の身近なところからできるエコを始めてみましょう。
一人一人の力が集まれば、大きな力となるのですから。
まずは、サンゴマップの活動に参加するなど、ダイバーだからできることを行ってみてはいかがでしょう。
財団法人
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