
「海を守りたい…」
この気持ちは、海が好きだからこそ生まれるものではないでしょうか。私たちを励まし慰めてくれ、時には奮い立たせてくれる「海」。
それは私たちに大事な食糧や職業、レジャーまでをも与えてくれる大切な存在です。
そんな海のために一人ひとりが何かしたい!と活動するのが、『海守』です。
およそ34000kmの長さを持つ日本の海岸線。
これは世界で6番目だといいます。
国土面積が60番目のことから考えてみても、いかに長いかがわかるでしょう。
近年この海岸線が、危機にさらされています。
大量のゴミ問題、油や化学物質の流出、密漁や密航など多くの問題が起きているからです。
海を守る国の組織としては、主に海上保安庁が約12000人体制で活動していますが、多岐にわたる業務の中で、海岸線に注がれる目は十分とはいえないのが現状です。
そこで海上保安庁レベルまでとはいかなくても、一般の方にもできるだけ海岸に目を向けてもらおうと作られたのが、今回紹介する『海守』です。
海守は、民間人による広域ボランティア団体。
日本財団が(財)海上保安協会や海上保安庁と協力し設立しました。
2003年2月1日発足以来、会員たちは「きれいで、安全で、豊かな海」をテーマに、海上保安庁への情報提供や、海洋環境保全活動などさまざまな活動を行っています。
現在会員数は約65000人で、そのうちの1割以上がダイバーになります。
今では草の根的に会員数が増えています。

約100人の参加者と海岸清掃を行いました(淡路島にて)
全国各地にいる海守会員は身近な海に目を向け、異変を感じたら海上保安庁の「118番」に通報するのが主な活動です。
比較的大きな事件は海上保安庁が取り締まるわけですが、日常の中でもっと小さな問題というのが実はたくさんあります。
例えば排水や廃棄物の不法投棄、密漁、危険物の漂着など・・・。
海守会員が、これら一般的に見て何かおかしいなと感じた事を118番に通報することによって、より迅速で細やかな海上保安庁等による対応が可能になります。
これまでは海守の事務局から活動を呼びかけ、それに賛同した会員が集まって活動してきました(会員はどちらかというと受身体制でした)。
しかし最近では、地域ごとに会員自らが何か活動をしようといった積極的な動きが出てきています。
これまでのように事務局が主導して何かやろうとなると、実行までに多くの時間とお金がかかりますが、地域ごとに現場にいる会員が主導になってやればすぐ実現できます。
今や近隣の会員たちに呼びかけ、率先して活動を行うような、主導者的存在が必要なのです。
また、地元会員による自主活動は、おのずから地域に密着した活動となる点にも期待がもたれています。


会員たちが海を守る活動をするには、まず今何が起こっているのかを知る必要があります。
そこで事務局はメールマガジンやブログで、海の時事ニュースを配信します。
その際、運営側が一方的にニュースを伝えるだけではなく、各ニュースについて「皆さんはどう思いますか?」と会員自身の意見を聞く形をとっており、こういったことが情報交換や、活動アイデアを募る重要な場となっています。
会員は安全な海洋環境を目指し、クリーンアップ活動をしたり、流出油災害に関する知識の習得のため講習会に参加します。
最近では、特に問題なのが漂着物関係。
沿岸に流れ着くゴミの量は想像以上に多いもの。
その中には目を疑うような危険なものが混ざっていることもしばしばです。
そういったものに対し、一刻も早い対処が必要となります。
海守の会員は危険物や大量のゴミ情報を海上保安庁に提供すると共に、時にはそれらの回収も行います。

ここで、漂着物問題やクリーンアップ活動について、「海守」事務局の三浦さんにお話を伺いました。
「関東の某有名ビーチで、大量の注射器が発見されたことがありました。
そこは海水浴シーズンには人でいっぱいになる海岸です。
注射器をよく調べてみると、中には人血が残っているものも…。
これらには危険な菌が含まれていることもあるので、海岸で踏んだりしたら大変です。
また日本海沿岸の各地に、青や白のポリタンクが大量漂着した事件もあります。
この中には酢酸などの液体が入っていることもあり、大変危険です。
こういった危険物に対しては、正確な情報さえあれば海上保安庁等による回収や調査が可能です。
調査はそれらがどこから来て、なぜそこに漂着するのかを解明する糸口になります。
漂着物をいくら除去しても、根本的な原因を突き止めないことにはまた同じことが起こってしまうため、こういった活動は地味ですがとても重要です。
危険物の問題解決には多くの人からの情報提供が必要になるので、海守会員はもとより、一般の方からも情報をいただければと思っています。
クリーンアップ活動については、当然ながら海岸をきれいにする目的でやりますが、他にも目的があります。
ゴミを拾った人は、捨てることをしなくなりますよね。そしてその拾った人が周りの人にゴミを捨てないよう伝えることができると思います。
『拾う前に、捨てない』ことを知ってもらい、またそれを波及させるよいきっかけ作りにもなると思っています。」

海岸に溢れる産業ごみ
(漁業用品、薬品タンク、靴底素材など何でもあります)
さらにゴミ問題は、漁業にも悪影響を及ぼしているのをご存知だろうか?
シラス漁にまつわる貴重なお話を三浦さんは続けてくれました。
「シラス漁は、海面近くを細かい網を引いて行います。
近年ではシラスに混ざって、発砲スチロールやプラスチック片などの細かいゴミが水揚げされ、深刻な問題となっています。
そういったゴミが万が一製品に混ざったりしたら大変なので、最終的には1つ1つ手作業で取り除かなければなりません。
そうなると人件費がかさみ、逆に漁をしたほうが赤字になってしまうことがあるのです。
そのため中には漁を行う前に、空網を引きゴミ調査をしてから漁の実施を検討する漁師さんもいます。
昔はそんなことなかったのに、今ではいくらシラスが海にいたとしても、ゴミが多ければ漁をすることができません。
ゴミが理由で食糧が獲れなくなる…。
これはなんだかとてもおかしな話ではないでしょうか?」
以下URLより、三浦さんが執筆された興味深い記事が閲覧できます。
『宇宙から見える、人間の不始末』
詳細はコチラから
http://www.umimori.jp/pc/media/img/07_spring.pdf
会員は、海上保安庁の施設見学や、海上保安に関する講話を通じ海への理解を深めます。

海上保安活動研修では巡視船内の見学を行いました
専用フォームより会員登録をすると、いろいろな活動に参加できます。
会員以外の方でも、海岸線に関する事件・事故等を発見した場合は、海守事務局か、
118番(海上保安庁)に連絡をしていただくことができます。

最後に
実際に海守の活動をしていると、知らないほうが幸せだったという悲しい現実にぶつかることもあるといいます。
でも現状を認識し行動を起こさなければ、何も変わらないのです。
海にたくさんのものをもらっている私たちだからこそ、海に優しい行いを心がけたいですね。
みなさん、海守の仲間になってできることから始めてみませんか?
財団法人
海上保安協会
海守事務局
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