新連載「珍魚・変魚発見隊」第一回

珍魚・変魚発見隊

2016年2月15日

毎月一回 各隊員が綴る珍魚発見記

これは、珍魚との出会いを求め、海を駆け巡る魚マニア(発見隊)のストーリー。
幼魚から深海魚まで、彼らは見たこともない魚を求め、各地を飛び回る。
磯に漁港に、魚屋に……。魚の気配がある場所は、目を光らせて観察し、目ぼしい魚を見つければ、どこまでも追いかけてゆく。水の中でもなんのその。
今日もどこかで、誰かしら、珍魚と出会いに感涙する……。

そもそも”珍魚”とは何なのか?辞書には、「珍しい魚」、英語では「rare fish」とある。なかなかお目にかかれない魚、ということだろう。ここではさらに、隊員たちが発見した見た目が変わった魚「変魚」も含め、紹介しようと思う。
珍魚(変魚)探しは、隊員たちにとって、まさに宝探しのようなもの。出会えた時の感激は、言葉では言い尽くせない。

ところで珍魚や変魚、いったいどこに行けば会えるのか?実は、意外とその辺にいる。少なからず、隊員たちは、そういう場所をよく知っている。
何も深海まで行かなくても、ちょっと意識を傾けるだけで、その辺の海で、誰でも珍魚・変魚に会うことができるのだ。
ここに登場する隊員は、水族館の飼育係、岸壁採集家、磯観察のスペシャリストをはじめ、とにかく生きもの好きな人、海あそびを得意とする人たちだ。
水場があれば、すかざす覗き込む彼らはまた、”観魚人( うおノゾキスト )”と呼ばれることも。
彼らがこっそり体験しているディープな世界を覗いてみよう。(毎月15日掲載予定)

 

隊員1号:あわしまマリンパーク館長の佐藤 充さん

海に向う佐藤さん

南伊豆・某ビーチからフィッシュウォッチングへ向かう佐藤さん。フィンはなし……

 

これから話すのは私の趣味の話なので、皆さんには気楽に読んでもらいたいと思っている。「海の生き物は全然知らないんですけど・・・」くらいの感覚でちょうど良い。
話を進めていく中で、時には間違いなどもあるかもしれないが、それは私の不勉強ということで許してもらいたい。

私はいろいろな生き物を捕まえたり、飼ってみることは非常に良いことだと思っている。なぜなら、それが生き物の世界の奥深さを知る「入口」だからだ。

身近な磯遊び」をテーマに、話を進めたいと思う。
海の生き物は、多くの種類がいる。それらを捕まえるには、それなりの重装備が必要と思っている人もいるかもしれないが、そうではない。最小限の装備を挙げれば、網、バケツ、エアレーション(通称ブクブク)の3つでよい。時には網すらいらない時もある。さらに良いのは、基本的に無料。思い出もプライスレス!それくらい簡単に、しかも個人から家族全員まで幅広く楽しめる遊びなのだ。
興味を持った人はぜひ、海に行ってみよう!行きたくない人は、この記事を読んで楽しもう!

 

親と子、ビフォーアフターのギャップが凄い!「コブダイ」

コブダイを知っている人は多いのではないだろうか?成長すると、その名の通り、おでこと下あごが大きく出っ張り、巨大なコブに見えるのだ(雄の特徴)。大きくなると1mくらいになる。

コブダイの幼魚

コブダイの幼魚。成魚とはだいぶ見た目が異なる

 

経験として、ベラの仲間を捕まえるのはかなり難しい。逃げ方の特徴としては、基本的に岩陰に隠れたりしないのだ。そのままスッと泳ぎ去る。なので、なかなか捕まえられない。しかし、コブダイの幼魚は違った。
2015年12月のこと、ダメ元で追ってみると、すんなりと手ごろな岩陰に隠れるではないかっ!チャンス到来!!ここを逃したら、次は無い!タモ網を素早く岩にかぶせる・・・が、コブダイはじっとしている。ならば!!岩の間に隠れているコブダイを指でつついてみる。これでやっと外に出てきたので即逮捕!達成感は半端ではなかった。
採集したのは、西伊豆・淡島の近く、水深2mほどのところだった。シュノーケリングでの採集だったが、まだ水温が18℃あったので、寒さは気にならなかった。コブダイの幼魚は5cmほどで、まだあどけない。

図鑑などでその姿は見ていたが、実際手に取ってみたのは今回が初めて。写真より実物はずっと綺麗だ。カメラの性能でかなり左右されるのだろうが、今回撮ったカメラでは色合いがいまいち伝わらないので残念だ。
今回、この記事を書いていて、改めて写真をじっくり見る機会を得た。そこで思ったことは、「お金を貯めて、もっと性能の良いカメラを買おう・・・」ということだった。自分の中ではその気づきも大きな収穫であった。

 


(c) .foto project。コブダイの成魚

 

【コブダイ】
スズキ目ベラ科。大きくなると全長1mを超える。成魚は、おでことアゴが出っ張り、見た目いかつい。それに比べ、幼魚のときは普通のベラの形をしていて可愛い。幼魚は体の中央に白色縦帯が入るが、成長すると不明瞭になる。岩礁域に生息。

 

さらに、この時もう一種南方系の可愛い珍魚を発見。ミナミハタタテダイの幼魚、だ。熱帯魚の雰囲気をプンプン漂わせている。 夏~秋にかけて、黒潮に乗って本州沿岸にやってくる“死滅回遊魚”(※)の一種だ。実はハタタテダイの仲間は、捕まえるのはそんなに難しくない。

ミナミハタタテダイ

ミナミハタタテダイの幼魚。口先と背びれが鮮やかな黄色をしていてきれい

 

(※)死滅回遊魚:黒潮に乗って本州沿岸にやってくる熱帯魚の幼魚。チョウチョウウオの仲間やミナミハコフグなどがよく知られる。秋、水温が下がると死滅する。季節来遊魚とも呼ばれる。

 

【ミナミハタタテダイ】
成魚は全長15cmほど 。南日本の太平洋岸、琉球列島、朝鮮半島、東部インド~中・西部太平洋の熱帯域に分布。サンゴ礁域に生息。背鰭第4棘は伸長し、吻は黄色い。臀ビレに黒斑がある。

 

筆者プロフィール

佐藤充 さん

佐藤 充(さとう みつる)

福島県出身。北里大学水産学部卒業。

幼少時よりいろいろな生き物採集を得意とする。今は魚の他にカエルやイモリも探しに行く。シュノーケリングは小学校くらいから始めた記憶があるが、もしかしたらもっと早かったかも。水族館での飼育歴15年以上。
現在、あわしまマリンパーク館長。

 

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