連載「珍魚・変魚発見隊」第十二回

珍魚・変魚発見隊

2017年3月31日

毎月一回 各隊員が綴る珍魚発見記

これは、珍魚との出会いを求め、海を駆け巡る魚マニア(発見隊)のストーリー。
幼魚から深海魚まで、彼らは見たこともない魚を求め、各地を飛び回る。
磯に漁港に、魚屋に……。魚の気配がある場所は、目を光らせて観察し、目ぼしい魚を見つければ、どこまでも追いかけてゆく。水の中でもなんのその。
今日もどこかで、誰かしら、珍魚と出会いに感涙する……。

そもそも”珍魚”とは何なのか?辞書には、「珍しい魚」、英語では「rare fish」とある。なかなかお目にかかれない魚、ということだろう。ここではさらに、隊員たちが発見した見た目が変わった魚「変魚」も含め、紹介しようと思う。
珍魚(変魚)探しは、隊員たちにとって、まさに宝探しのようなもの。出会えた時の感激は、言葉では言い尽くせない。

ところで珍魚や変魚、いったいどこに行けば会えるのか?実は、意外とその辺にいる。少なからず、隊員たちは、そういう場所をよく知っている。
何も深海まで行かなくても、ちょっと意識を傾けるだけで、その辺の海で、誰でも珍魚・変魚に会うことができるのだ。
ここに登場する隊員は、水族館の飼育係、岸壁採集家、磯観察のスペシャリストをはじめ、とにかく生きもの好きな人、海あそびを得意とする人たちだ。
水場があれば、すかざす覗き込む彼らはまた、”観魚人(うおノゾキスト)”と呼ばれることも。
彼らがこっそり体験しているディープな世界を覗いてみよう。(毎月15日掲載予定)

 

隊員12号(隊員5号の第2弾):生き物コンサルタントARU代表の青木 宏樹さん

桜咲く花見の季節、よもぎダンゴ、みたらしダンゴ、小倉ダンゴ、ずんだダンゴ、和菓子屋さんには春を彩るお団子がたくさん並び、舌だけでなく目も楽しませてくれます。団子は団子でも、今回は海を彩るおだんごのお話です。
季節は少しさかのぼり、しびれる寒さの冬真っ只中、満月と新月にいざなわれ、夜の海へと出かけました。

駐車場から少し距離のあるとっておきのポイントは、バケツと網を持って歩いていくと熱がりな私は冬でもじんわり汗をかきます。
到着したころにはウォーミングアップはばっちり完了!いざ海のおだんごの捜索を開始します。ライトを水面に当てると、ヤドカリやカニはびっくらこいて大慌てで動きだします。小さなタイドプールでも、生き物の数はゆうに100を超え、彼らの鼓動が聞こえてくるかのようなにぎわいに「また海に来たなー」としばらく一人でニヤニヤ。

 

ミミイカ

愛嬌たっぷりのミミイカがお出迎え

 

観察開始早々、足元にいらっしゃったのは4センチほどのミミイカ、潜って休んでいたところをガサゴソされてびっくり飛び起きてきたのでしょう。大きなミミをゆらゆら揺らし、体色をぎらぎらと変えこちらをにらんでいる様子。

海藻をかき分け、LEDライトの光を頼りに念入りに探しているうちに、ヤドカリ、石ころ、丸い海藻、すべてが “おだんご” に見えてきます。目と腰が痛くなってきた頃、直径2㎝ほどの玉ころ状のお魚に出会えました。お目当てダンゴウオです。ふわふわと漂う、お腹に卵を持った女の子、今回も無事に出会うことができました。この子は、きなこダンゴかな?

 

ダンゴウオ2匹

赤色と黄土色っぽいダンゴウオをゲット。一匹は泳ぎ出したところを発見

 

ダンゴウオ

写真:福井歩
なんともあどけない表情。ダンゴウオが人気の理由が伺える

 

潮が満ちてきたことに気が付き、時計を見るとあっという間に3時間以上が経過しています。磯の採集には潮の満ち引きというタイムリミットがつきものです。少し後ろ髪ひかれて帰るくらいがちょうどよいのかもしれませんね。

トゲモミジガイ、ヒモムシ、ショウジンガニ、ウミウシの仲間いっぱい、他多数、風のない最高の採集日和で、この日もたくさんの未知との遭遇がありました。
でも不思議と苦痛ではない、また来たいなーと思いながら牛丼屋さんのトン汁で冷えた体を温めて帰ったのでした。

 

ヒモムシの仲間

世にも奇妙なヒモムシの仲間

 

ダンゴウオの飼育について

体色にかなりのバリエーションがあるダンゴウオ、その場所の色に擬態して体色を変えているのだと思っていましたが、飼育してみるとあまり急激な体色の変化は起こりません。赤い子が緑になったりすることは無いようで、ある程度成長段階で色が決まってくるような印象を持っています。むしろ自分の体色に近い場所を好んで住んでいるのかもしれませんね。
成熟してくるとメスはお腹が大きくなり、雄はトサカ(背びれ)が大きくなり、にわとりのオンドリを思い出させる立派な風貌になります。
水温の管理さえできれば飼育自体はわりと簡単で、人口餌にも餌付いてくれますが、冷凍のエビや生きたイサザアミの方がはるかにエサの食いつきはよく、バクバク食べてどんどん太ります。
エサをバクバク食べると卵もどんどん大きくなり、ある日突然自分の体と同じくらいの大きさの卵塊を産みます。産んだ卵の前に陣取り近寄るものをにらみつける親の愛に心を打たれます。卵も他の魚に比べてかなり大きく稚魚の生存率も比較的高いです。
毎年冬の始まりに見られるダンゴウオは小ぶりな個体しかいないため、年魚で寿命も春までの短いものだと思っていましたが、水温さえ下げていれば産卵後もエサを食べて生き続けてくれるのもいるようです。

 

筆者プロフィール

青木宏樹さん

青木 宏樹(あおき ひろき)

神奈川県横浜市出身、北里大学水産学部卒業。

生き物コンサルタント「ARU」代表
環境と生き物と魚食の団体AquaCulture事務局長
幼少期より生き物に魅せられ、近くの池で獲ったザリガニは1000匹を超えていた。
高校生の時に初めてアルバイトをして水槽を購入、転がるように熱帯魚の魅力にとりつかれ水産学部への進学を決意。魚を食べるのも大好きで現在は魚食普及活動にも力を入れている。

 

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