連載「珍魚・変魚発見隊」第五回

珍魚・変魚発見隊

2016年6月15日

毎月一回 各隊員が綴る珍魚発見記

これは、珍魚との出会いを求め、海を駆け巡る魚マニア(発見隊)のストーリー。
幼魚から深海魚まで、彼らは見たこともない魚を求め、各地を飛び回る。
磯に漁港に、魚屋に……。魚の気配がある場所は、目を光らせて観察し、目ぼしい魚を見つければ、どこまでも追いかけてゆく。水の中でもなんのその。
今日もどこかで、誰かしら、珍魚と出会いに感涙する……。

そもそも”珍魚”とは何なのか?辞書には、「珍しい魚」、英語では「rare fish」とある。なかなかお目にかかれない魚、ということだろう。ここではさらに、隊員たちが発見した見た目が変わった魚「変魚」も含め、紹介しようと思う。
珍魚(変魚)探しは、隊員たちにとって、まさに宝探しのようなもの。出会えた時の感激は、言葉では言い尽くせない。

ところで珍魚や変魚、いったいどこに行けば会えるのか?実は、意外とその辺にいる。少なからず、隊員たちは、そういう場所をよく知っている。
何も深海まで行かなくても、ちょっと意識を傾けるだけで、その辺の海で、誰でも珍魚・変魚に会うことができるのだ。
ここに登場する隊員は、水族館の飼育係、岸壁採集家、磯観察のスペシャリストをはじめ、とにかく生きもの好きな人、海あそびを得意とする人たちだ。
水場があれば、すかざす覗き込む彼らはまた、”観魚人(うおノゾキスト)”と呼ばれることも。
彼らがこっそり体験しているディープな世界を覗いてみよう。(毎月15日掲載予定)

 

隊員5号:生き物コンサルタントARU代表の青木 宏樹さん

【磯採集の魅力 ~未知との遭遇に魅せられて~】

毎月2度、月が真ん丸になる時と、全く見えなくなる時、海が私を呼んでいるようでそわそわする。大潮の干潮時の潮溜まりは、幼少期のおもちゃ箱のようにわくわくが詰まっている。覗き込んだ瞬間に驚いて逃げるヤドカリやカニ、エビにハゼ、見慣れた光景だが、毎回顔がにやけてしまう。今回はどんな未知との遭遇が待っているのか……期待と興奮で思わず鼻血が出そうになる。

毎年同じポイントの潮溜まりを覗いても、少しずつ表情が違う。海藻の生え方、石ころの数……台風が一度来ただけで、何百キロもあるだろう岩が転がって地形そのものが変化する。もちろんそこにいる生きものたちも全く同じということはありえない。
「おまえさん、また会えたね」とイソスジエビにご挨拶、「おや、おまえさんはこんなところにいるのかい」と取り残されたチョウチョウオにもちょっかいを出す。ときおり、ものすごく珍しい生きものに遭遇することもある。出会えなかったものに出会える発見と喜びこそ、海に行く一番の魅力である。

 

マツカサウオ幼魚

潮溜まりで見つけた全長2cmに満たないマツカサウオの幼魚

 

小さな小さな潮溜まりに浮かぶ金色の玉

もう何年も前の話。秋の終わりごろ、少し風が強い満月の夜のできごと。三浦半島の海の小さな小さな潮溜まり(直径およそ30㎝、深さは約4㎝)に浮かぶ小さな金色の玉ころを見つけた。それは、2㎝にも満たないマツカサウオの幼魚だった!スーパー珍サイズだ。ライトに照らし出された黄金の生きものに大きな声を出してしまったのを覚えている。
小さいけれど、マツカサウオの特徴である固い体と、立派にとがった腹ビレはいっちょまえである。成魚に比べて黒色の面積は多く体型は丸っこいように感じる。遊泳力はあまりないので強風にあおられ潮溜まりに取り残されたところ、私とご対面となったようだ。
写真を撮ろうとしても恥ずかしがり屋さんでなかなかいい角度で撮らせてくれない。お魚にも個々に性格があるのだ。好奇心旺盛でカメラに寄ってくるやつ、私の影を感じただけで隠れ家に入ってしまい出てこないやつ……。
結局、この小さなマツカサウオを飼ってみることにした。じっくり時間をかけて、餌付けを試みる。冷凍のエビ(解凍後)を食べてくれた時は嬉しかったが、恥ずかしがり屋な性格はそのまんまだった。

 

マツカサウオ幼魚

金色に輝くマツカサウオの幼魚。まさにお宝!

 

【マツカサウオ】
学名:Monocentris japonica
キンメダイ目マツカサウオ科。
南日本の太平洋岸、琉球列島、小笠原諸島、インド・西太平洋に分布。ウロコが固く、ヨロイをまとったような姿をしている。一見、パイナップルのようにも見える。下あごの先端に発光器を持ち、発光バクテリアを宿している。そこが暗い所では弱く光る。鋭い棘があり、定置網などに入ってしまうと嫌われるが、水族館やダイバーには人気の魚。

 

マツカサウオ成魚

成魚になっても大きさは10~15cmほどと小ぶり

 

筆者プロフィール

青木宏樹さん

青木 宏樹(あおき ひろき)

神奈川県横浜市出身、北里大学水産学部卒業。

生き物コンサルタントARU代表
環境と生き物と魚食の団体AquaCulture事務局長
幼少期より生き物に魅せられ、近くの池で獲ったザリガニは1000匹を超えていた。
高校生の時に初めてアルバイトをして水槽を購入、転がるように熱帯魚の魅力にとりつかれ水産学部への進学を決意。魚を食べるのも大好きで現在は魚食普及活動にも力を入れている。

 

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