連載フォトコラム『色とりどりの世界~石垣島をめぐる大自然の物語~』第三回

フォトコラム

2015年3月31日

写真・文/内藤 明(HP)

毎月1回 石垣島の大自然を紹介

石垣島でネイチャーガイドを務める内藤明さんのフォトコラムです。石垣島に暮らして10年以上、海や森のツアーガイドをしながら壮大な自然やさまざまな生きものとふれ合ってきたあきら氏。日々、島の素晴らしさを発見し続けています。本コラムでは、刻々と移り行く大自然の風景や生きものたちのドラマをお届けします。意外と知らない島の日常風景や、気になる島料理のことなども飛び出すかも!? どうぞお楽しみに。

美しい写真を見ながら、ほんのひとときでも一緒に島を旅しているような気分に浸っていただければ幸いです。(毎月末日掲載予定)

第三回 『命の循環』

 私の大好きな景色「底地ビーチ」

私の大好きな景色「底地ビーチ」

石垣島には無名のビーチがたくさんあって、一日中そこにいても誰とも出会わないことがある。真っ白な砂浜の上を歩くのはヤドカリたち。耳を澄ますと潮騒に混じって海鳥の鳴き声が聞こえる。海に飛び込めばカラフルな魚やサンゴたち。海に行くと、いつだって豊かな自然が出迎えてくれる

小魚を探して飛び交うアジサシ

小魚を探して飛び交うアジサシ

うりずん(沖縄の初夏)を過ぎると、方言で「ミジュン」という小魚が島の沿岸で産卵を始め、産卵が終わるころには数千キロを旅したアジサシがやってきて岩礁で子育てをする。雛が孵化するころアジサシは海に飛び込み、口に何匹もの小魚を咥えて嬉々として巣に持ち帰る。

投げ網に必要なことは「魚を見つける目」を養うこと

投げ網に必要なことは「魚を見つける目」を養うこと。網を投げているのは私

私は仕事が終わるとその鳥たちに混ざって投げ網で魚を獲り、潮干狩りで貝を集め、シュノーケリングで海藻を採る。島の暮らしは、シンプルで、命の温もりに溢れている

「魚がいるなら、黙って網を打て」。海の先生の一人であるオジーの言葉

私に投げ網を教えたオジーは、小魚が卵を産む季節には網を入れない。多くを語らず何ごとも体で覚えさせる人だから、その理由を教わったことはないが、この小魚がたくさんの命を支えているからだと思う。

小魚はたくさんの生きものの栄養になり、糞として海へと還っていく。それがプランクトンの栄養となり、再び小魚やサンゴなどの命へと繋がれていく。この命のつながりの恩恵を受けて、私たちヒトも生活ができるのだ。

アジサシたちの主食、キビナゴの群れ

アジサシたちの主食、キビナゴの群れ

石垣島を訪れた東京の学生たちとビーチクリーンをした時、わずか30分ほどで大きなゴミ袋7袋分もの漂着ゴミが集まった。海を前にした私たちは、命のつながりや、石垣島の海と都会のつながり・・・さまざまなことを考えた

その後、学生の一人が SNSでサンゴ礁の危機について発信した。「壊れ行く海の生態系を元通りにするには、私たちひとりひとりの生活を見直さなければならない」。小さな情報の連鎖は、そのきっかけの一つになるだろう。また別の回でサンゴ礁の危機について書きたいと思う。

海に行く時はいつも「親父の作ったカゴ」を腰に下げる川平のオジー

海に行く時はいつも「親父の作ったカゴ」を腰に下げる川平のオジー

投げ網で獲ったミジュンを浜で捌いてると、アジサシたちの鳴き声が聞こえてくる。それは、命をつなぐ喚起の歌声だ。私は、その声を聞きながら想う。

この魚たちも、夜に飲むビールも、すべて自然の恵み。たくさんの恵みを地球からいただいているのに、私は海に何を還すことができるだろう。この命のループは、私のところで急激に弱まってしまっているように思う。このもどかしい気持ちをどうすればいいか海に相談するけれど、投げ網を教えてくれたオジーのように、海はただ黙ったままでいる。

筆者プロフィール

内藤明さん

内藤 明(ないとう あきら)

東京都出身。

高校卒業と共に石垣島に移住。サトウキビ農業をしながらダイビング、シュノーケリングショップなどで働き、2006年に「エコツアーりんぱな」を起業。現在は島の海や山をガイドする傍ら、国内の大学と連携し生物調査をしたり、島内外の学校にて自然教育を行っている。

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