連載フォトコラム『色とりどりの世界~石垣島をめぐる大自然の物語~』第八回

フォトコラム

2015年10月14日

写真・文/内藤 明(HP)

毎月1回 石垣島の大自然を紹介

石垣島でネイチャーガイドを務める内藤明さんのフォトコラムです。石垣島に暮らして10年以上、海や森のツアーガイドをしながら壮大な自然やさまざまな生きものとふれ合ってきたあきら氏。日々、島の素晴らしさを発見し続けています。本コラムでは、刻々と移り行く大自然の風景や生きものたちのドラマをお届けします。意外と知らない島の日常風景や、気になる島料理のことなども飛び出すかも!? どうぞお楽しみに。

美しい写真を見ながら、ほんのひとときでも一緒に島を旅しているような気分に浸っていただければ幸いです。(毎月末日掲載予定)

第八回 『自分のためのナイトツアー』

夜の森が好きで、そこに棲む夜行性の生き物を探すナイトジャングルツアーのガイドをしています。フクロウやコウモリ、ヤシガニなど、陸上には面白い夜行性動物が沢山いるので、毎晩同じコースを歩いても飽きないほど面白い!

そんな私が、自分のためだけに開催する特別なナイトツアーがあります。自分のため、なのでガイドも参加者も私のみ。どこに行くかというと夜の「海底」を歩きます。そこは昼間とは全く違う世界が広がっていてワクワクが止まりません。今日はその様子を皆さんにご紹介します。

※【この先写真にご注意を】フラッシュを焚いて撮影しているので、海の生き物のヌルヌル感が倍増しています。苦手な方はご注意を。

ハリセンボン

水を吸って膨らんだハリセンボン。針よりも鋭いクチバシが危険

皆さんは海底を歩いたことがありますか?この先の写真は、実は全て海底で撮ったものなのです。どうすれば海底を歩くことができるでしょう。地底湖?洞窟?それともモーゼのように海に道を作って…。いえいえ、誰もが簡単にできる方法があります。

アイゴ

石垣島ではマース煮にして食べるアイゴが海藻にもたれて眠っていた

ムラサメモンガラ

ほぼ全身が干上がっているのに縄張りからは離れられないムラサメモンガラ(しっぽのみ)

海底を歩くには、海が干上がった時間に行けばいいのです。水深2m以上の場所も、大潮の干潮時には海の水が全てなくなってしまうので楽々と歩けます。

イシヨウジ

寝ぼけ眼のイシヨウジ

ヤクシマダカラ

美しい模様の大きなタカラガイ・ヤクシマダカラは、夜行性で産卵の時期になるとある特定の岩に群がって卵を産む

海底の窪みや割れ目には海水が残っていて、生き物たちはそこに息づいている。長靴で海底を歩き、懐中電灯で生き物を探していく。

キクメイシ(サンゴ)

キクメイシの仲間が触手を伸ばして食事をしている

ウツボ

ウツボは味噌などで炊くと美味だが、猛毒を持つものもいるので注意が必要

夜の海底を歩く目的は、面白い生き物に出会うためと、美味しい食にありつくため。方言でウムズナーといわれる小さなタコ捕りは年に一度の私の贅沢です。

テナガダコ

テナガダコ。非常に美味だが噛まれると危ない

アオリイカ

寝ぼけ眼のアオリイカの威嚇。お腹を海底に付けて眠る様子がかわいい

ウミウシ

大きなミカドウミウシが産卵していた。赤いバラのようなものが卵塊

シラヒゲウニ

海藻を身にまとう姿がかわいいシラヒゲウニと、数年ぶりに出会った

ウニは、昔は大量に獲ってはブタの飼料にしていたようですが、今では滅多に見ない希少種になり、捕獲も禁止されてしまいました。同様にテナガダコも生息数が少なくなってきたようで、平成25年からは漁業者しか獲ることができなくなっています。

キクラゲ

一旦帰って眠ったら、次の朝はキクラゲをとりに森へ

キクラゲ炒め物

渓流の水で育ったキクラゲは歯ごたえが最高

「昔はいーっぱいいた。サザエやタコなんていくらでもいたよぉ。肥料袋いっぱい(農業に使う20kgの化学肥料が入った袋のこと)に獲って、重たいから帰りに捨てて(方言で置いてくること)よ。今はぜーんぜんいないけどよ、昔はたーっくさんいたな」

タコ採りを教えてくれたオジーが「タコがそこに居るのに見えないフリをして獲らなかった」理由は、昔獲りすぎた所為で、今減ってしまっていると感じているからなのかな、とふと思ったことがあります。

最近はテレビなどで生き物を捕って食べる番組が流行っていますが、この自分だけの「特別なナイトツアー」を自分の仕事として開催しようと思ったことはありません。もしも「獲るツアー」を開催したら、あっという間に生き物が居なくなるからです(そこに生息するタコの数の数倍のヒトがその海に訪れるわけなので)。それよりも、海人(漁師)が獲った食材を居酒屋で食べた方が島の経済もより豊かに回るというものです。

そんな意味もあって、自給自足よりも地産地消の方が好きなのです(小魚を投げ網で獲ったり、ウムズナーを獲ることは年に数度の贅沢です)。そして、この海がいつまでも沢山の生き物に出会える豊かな海であるように願っていますし、沢山の人に海を通して笑顔になってもらいたいと願っています。

沖縄県が作った漁業についてのマンガもご紹介します。沖縄の漁業者や海を身近に暮らしている人々の日常が描かれているのでぜひお読みください。

「海が好き ~しほとおじぃの約束~」(PDF)

筆者プロフィール

内藤明さん

内藤 明(ないとう あきら)

東京都出身。

高校卒業と共に石垣島に移住。サトウキビ農業をしながらダイビング、シュノーケリングショップなどで働き、2006年に「エコツアーりんぱな」を起業。現在は島の海や山をガイドする傍ら、国内の大学と連携し生物調査をしたり、島内外の学校にて自然教育を行っている。

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