2013年12月27日
写真・文/原崎 森(しげる)
協力/屋久島ダイビングサービス もりとうみ
寄生虫=ある生物が他の生物の体から栄養などを持続的、かつ一方的に搾取する生物。と言われています。
皆さんもダイビングの最中に寄生虫のついた生物を見たことがあるのではないでしょうか?
ちょっと気持ち悪い、と思われる方もいるかも知れませんが、寄生虫は宿主がいないと生きていけない生物。想像以上に寂しがり屋なんです。
宿主を殺すことなく暮らす姿に、もしかしたら生きるヒントが隠されているかも!と思い、寄生虫を愛して止まないサークル「パラサイトラヴァーズ」の皆様に全12回に渡って様々な寄生虫を紹介してもらいます。
「フクロムシに寄生された雄のカニは生殖能力を失い形態・行動が雌化し、フクロムシの卵が詰まったエキステルナを母ガニが自分の卵を世話するかごとく扱うそうです。
そうなるとカニは死ぬまでフクロムシの奴隷状態になるそうな。。。
恐ろしい。。。(・_・;」
こんな文章とともにこの写真を「Parasite Lovers」なるFacebook内の寄生虫愛好家グループに投稿したところ、こんな反応が返ってきた。
「ここでは、カニの人生より、寄生虫のたくましさに、関心を向けましょう(^o^)/」
確かにそうだ。
ここは寄生虫愛好家のグループ。
書き方が悪かった。。。
で、書き直してみた。(笑)
「フクロムシは寄生した雄ガニの生殖能力を奪い、形態・行動を雌化させ、フクロムシの卵が詰まったエキステルナを母ガニが自分の卵を世話するかのごとく扱わせるそうです。
そしてフクロムシはそのカニが死ぬまで奴隷状態にするそうな。。。
いや~たくましいなぁ~♪ ( ̄ー ̄)b ナイス!」
最初の文は宿主であるコマチガニから見た視点。
修正後の文は寄生生物であるフクロムシから見た視点。
「寄生」と聞くと一般的には宿主の立場に立って、「うわ~マジっすか!可哀想!寄生生物はやっぱり恐ろしい!キモっ!」という反応になるのだろう。。。
しかし、寄生生物の立場に立っていると、「うわ~マジっすか!たくましい!見事な生存戦略!賢い!」といった反応になるのだろう。。。
視点や立ち位置が違えば、受け取り方は当然まったく逆になる。
自然というのはすべての生き物が関係し合って生きており、他の生物とはまったくつながりを持たずに生活する生き物は皆無だ。
このつながりや関係を寄生なんかも含めて「共生」というわけだけど、「共生」は必ず2つ以上の生き物が関係しているので、自然というものには、当然2つ以上の視点や立ち位置が存在することになる。
これは当たり前と言えば当たり前の事なんだけど、僕らはこの「つながり」を分かってはいるんだけど、ついつい忘れてしまいがちで、自然を1方向からしか見ていない事の方が多いのかもしれない。
寄生虫に興味をもってから、そんなことをよく考える。
原崎 森(はらざき しげる)
自然をガイドする仕事に憧れ、ダイビングのインストラクターとなる。
2004年4月、当初からの夢であった屋久島にて念願の独立を果たす。
1年365日カメラ片手に毎日海に入り、1年を通して屋久島の海とその四季を記録し続けている。
屋久島ダイビングサービスもりとうみ
個人サイトHARAZAKI.NET
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