荒俣宏さん公式の魚観察博物トークイベント「魚観察(うおのぞき)ナイト第2弾」終了

ダイブネットニュース

2015年2月16日

写真・文/茂木みかほ

「流れ藻」をテーマに、熱いトークを炸裂

2015年2月7日(土)、お台場 TOKYO CULTURE CULTUREにて「荒俣宏の魚観察(うおのぞき)ナイト2~磯あそびカルチャー化計画・新年総決起集会!」が開催された。

出演者は、プロ魚観察集団の荒俣宏さんをはじめ、さとう俊さん、新野大さんのお三方。加えて、スペシャルゲストに岸壁採集家の黒柳さんと、フィッシュヒーラーの鈴木香里武さんを迎え、"流れ藻" をテーマに、熱いトークが繰り広げられた。この日の観客は、なんと総勢100名以上。前代未聞の"流れ藻"ネタが飛び出す度、会場からは歓声があがった。当日の様子を紹介する。

 

出演者のみなさん

左から、東京カルチャーカルチャー店長の横山さん、荒俣さん、ゲストの黒柳さん、ゲストの鈴木さん、さとうさん、新野さん

最初に、荒俣さんより、今回のイベント主旨が告げられた。

「日本は周りを海に囲まれています。私たち魚観察(うおのぞき)集団は、磯とあそぼう、海とあそぼう!をコンセプトに活動しています。今回は一人でも多くのみなさまに海の楽しさを知ってもらいたい、と2回目のイベントを開かせていただきました。今回はすごいですよ!身体のラインが気になるから海に入りたくない、という方も多いと思いますが、陸からでも(水着を着なくても)、海の中をのぞける方法を公開します!楽しみにしていてください」

 

本日のトップバッターは、水族館プロデューサーの新野大さん

サヨリの産卵

クラゲの帽子を被ってトークする新野さん

流れ藻とは?の説明の後に、そこに住む生きものたちの秘蔵写真を惜しみなく紹介した。

 

「私が流れ藻に興味をもったのは、魚類学者・内田恵太郎さんの著書『稚魚を求めて ある研究自叙伝』の影響が大きいです。本著の中に、流れ藻の下にいる稚魚の写真が載っているのですが、特にトビウオの写真に惹かれ、いつか見てみたいと思っていました。それで、流れ藻の下ではどんな魚たちが生活しているのか、観察するようになったのです」

 

「大阪の海遊館に勤めていた頃、初夏に大阪湾で、ホンダワラの周りにサヨリがたくさん集まっていたのを見たことがありました。干潮の時だったと思うんですが、お昼近くにサヨリが産卵を始めて。それも、岸壁のすぐ近くでですよ。産卵の方法がまた面白くて、流れ藻に飛び乗ってきて産卵をするんです。それから2〜3日で発眼し、卵の中で仔魚が動いているのを見た時は感動しましたね」

 

サヨリの産卵

大阪湾で目撃したサヨリの産卵風景

ツクシトビウオ

大好きなツクシトビウオ

「"流れ藻" といえばブリ="モジャコ" ですね。モジャコは漢字で「藻雑魚」と書きます。流れ藻によく付いています。高級食材のカンパチの幼魚もよく似ていますね。あとは、カワハギの仲間やニジギンポも流れ藻の代表格です」

 

ブリの幼魚

ブリの幼魚=モジャコ

「珍しいところだと、タツノオトシゴの稚魚たちが夜になると流れ藻に集まってきて、みんなで海藻に掴まって寝るのですが、それを写した写真や……、ヤマヒメの写真なんかはとても珍しいと思います」

 

ヤマヒメ

流れ藻に付いていたヤマヒメ。珍魚中の珍魚

「流れ藻の下にはいろんな生きものが潜んでいます。磯からも観察できるので、みなさんもぜひ!」

 

2番手は、博物学研究家、作家などの肩書きをもつ荒俣宏さん

荒俣さん

ミドリフサアンコウのかぶりものとマツカサウオ柄のセーターで登場

今回のために時間とお金をかけて調べたという貴重なお話を披露された。題して「流れもの と よりもの」。

 

テーマは「流れもの と よりもの」

こちらのスライドも今回のために作成。何とも魅力的

「流れ藻は、昔「なのりそ」の藻と呼ばれていました。なぜか?古文で「な〜〜そ」は、「〜〜してはいけない」という意味で、「のり」=言う。つまり「なのりそ」は、言ってはいけないよ、という意味になります。その昔、允恭天皇に禁断の恋をしてしまった衣通郎姫(そとおしのいらつめ)が、会えないことを寂しく思い詠んだ歌があります」

 

とこしえに 君も会えやも いさな取り 海の浜藻の 寄る時々を

 

「しかし、これを自分の奥さんや他人に知られるとまずいと思った天皇は、衣通郎姫に「この歌は他人に告げてはならないよ」と口止めをします。これがきっかけで、村人がこの歌にあった「浜藻」のことを「なのりそ」の藻と呼ぶようになったと言います。そう「なのりそ」の言葉の裏には、切ない恋のエピソードがあったんですね」

 

「流れ藻は、海流の影響で特に日本海側に溜まりやすいんですね。ちなみに、流れ藻の聖地は城ヶ島です!ここは、先に出てきた内田恵太郎が魚に親しんだ場所でもありますが、浅い所にたくさん海藻が打ち寄せます。内田恵太郎は流れ藻をすくっていたのがきっかけで、この地で人生の伴侶まで見つけてしまったのですからスゴイですね」

 

「流れ藻といえば、海面に浮かんでいるホンダワラなどの海藻のことを言いますが、ホンダワラは、すごい海藻です。オスとメスがあり、なんと卵を産むんです。ちょうど3〜4月頃、さやをたくさん付けて、卵を持っているのが観察できますよ。それから、モジャコ漁やサンマの手づかみ漁に欠かせない存在となっているのが流れ藻です」

 

「また世界的に見て、流れ藻が溜まる場所があります。それが、サルガッソ海(サルガッソ=ホンダワラ類)。別名バミューダトライアングル。船の墓場とも言われ恐れられている海域です。海流がいろんな方向から渦巻き、一度入るとなかなか外に出られない場所なんですね。あのコロンブスも、ここで1ヶ月くらい出られずにいたと言いますから。魔物がいて、幽霊船やお化けが出るなどいろんな伝説がささやかれています。最近では「サルガッソ」というマニアックな雑誌も出版されていて、サルガッソ海に住むとされる化け物伝説を研究する人が出てきて興味深いです」

 

サルガッソ・フィッシュ

サルガッソ・フィッシュと呼ばれる「ハナオコゼ」。日本にもいる流れ藻の代表格

「以上、全世界の文献を探して集めたネタでした。海に潜らなくても、海には面白いことがあります。みなさんも観察してみてください」

 

3番手は、マメチ・プロダクション代表、フィギュア作家のさとう俊さん

さとう俊さんが登場

アオウミウシのコスプレで会場を練り歩きながら登場〜

「私は、何かと物の裏側が気になるおかしな子だったようでして。大人になってからは、流れ藻の下が気になり、見てみたいなぁと思っていました」

 

さとう俊さん

新作うおのぞきツールを携えて登場したさとうさん

「Go-Proを見た時、コレは魚観察(うおのぞき)に使える!と思い、釣竿の先に付けて流れ藻の中にツッコンでみたんです。名付けて『ぼっちゃん1号』。完成したのが去年の12月。試運転に行ったのも12月。流れ藻はなかなかないわけですよ。でも、最終日にすごい映像が撮れちゃいました」

 

昼間の岸壁の映像

ぼっちゃん1号で撮影した昼間の岸壁の映像。ソウシハギやナンヨウツバメウオが姿を見せた

夜の岸壁の映像

ぼっちゃん1号で撮影した夜の岸壁の映像。神秘的なヘコアユの大群が出現

「小型カメラなので、生物の近くまで寄れるのがいいですね。魚たちは普段の生活を見せてくれます。長さ3mの竿の先に1.5kgのおもりを付けているようなものなので、そこそこ重いですが……」

 

実際に会場内で「ぼっちゃん1号」による撮影が行われ、ライブ映像がスクリーンに写し出された。

 

ぼっちゃん1号で撮影

高い位置から撮影すると、鳥の眼感覚の映像が撮れる

「WiFiが繋がる場所であれば、スマホのアプリと連動させて手軽に撮影ができるのも魅力です(水中はNG)。広角で撮れるのがいいですね。Go-Proは、ダイビングでは2時間くらいはもちますよ。ぼっちゃん1号を使った魚観察なら、歳を取ってからもできると思うのでオススメです」

 

スペシャルゲストによるトーク

本編が終わると、ゲストお二方によるトークの始まり。海面で見つけた珍しい生物の写真が交互に写し出され、それにまつわるエピソードが語られた。いくつかご紹介しよう。

 

【岸壁採集家の黒柳都夫さん】

黒柳さん

港の岸壁をブラブラしながら、可愛い稚魚たちに出会うのが楽しみだそうだ

ダイコクサギフエの幼魚

ダイコクサギフエの幼魚。3.5cm。水族館で人気者の魚が港近くの水面を泳いでいたというから驚きだ。※サギフエ科は、2013年にサギフエとダイコクサギフエに分類された

ホウボウ

ホウボウの稚魚。大きさ1.6cm。胸びれの軟条の間にある鰭膜が切れかけて、足になりかけている貴重な写真

メダカ

流れ藻の中にいたメダカ(正式な標準和名はミナミメダカ)。実はメダカもトビウオと同じダツ目の仲間。本来は塩水に強い魚

【岸壁採集家・フィッシュヒーラーの鈴木香里武(カリブ)さん】

香里武さん

現在22歳の香里武さん。心理学の観点から魚のどんな要素が癒しを与えているのか研究している

エボシダイ

カツオノエボシの触手の間に入って生活するエボシダイ。きらめくメタリックボディがかっこいい

クラゲウオ

クラゲウオ。クラゲの触手の中にいる。見つけた時は単独で水面を漂っていた

ハナデンシャ

ウミウシの仲間のハナデンシャ。普段は底を這って生活しているが、時々お腹を内側にして丸くなり海面を移動する

最後に、荒俣さんより閉会のご挨拶。

「海の表面は誰も観察を行ってこなかったんですね。まさに、海面直下が誰も手を付けていない未知のゾーンなのです。今回はその観察方法をご紹介しましたが、みなさんにもこれを機に海や磯へ行っていただけたら嬉しい限りです。今後は、みなさんをフィールドへお連れすることも考えていきたいと思っていますので、ご期待ください。本日は、どうもありがとうございました!!」

 

【告知】

今回の出演者主催で、2015年10月末を締め切りとして、どなたでも参加できる写真コンテストを開催予定です。撮影に関しては、ダイビング、磯、流れ藻、釣竿にぶら下げて……など場所や手段は問いません。いろんな海の生きものの写真を募集します。どうぞみなさん応募してください。詳細は、また後ほどブログ等で告知いたします。

 

イベント終了後、出演者との記念写真、サイン&握手会が行われ、大変盛況のうちに終了した。

 

物販

物販も大好評〜

参加親子

2014年9月、三浦半島で行われた磯観察実習会に参加してくれた山本啓太くん親子が遊びに来てくれた

 

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