
宇宙から地球を見てもその表面にクッキリとその姿を確認できるという、地球最大のリーフ、オーストラリア・グレートバリアリーフ(以下GBR)。
世界遺産にも登録されるこのエリアは日本列島の広さにも匹敵するほどの広大さだ。
全長2000km、総面積20万平方km2、サンゴの種類は350種を超し、そこには1500種以上の魚類、4000種以上のヒトデやナマコなどの軟体動物が生息するといった、スケールの大きなエリアだ。
ここにはまた、絶滅危惧種のアオウミガメが多数生息し、鳥類も約250種近くの生息が確認されている。
このようなGBRは、「エリア」と呼ぶより「一つの生命体」と言ったほうが正確な表現となるだろう。
この海域を潜るにはオーストラリア東海岸のケアンズという港町を出発地として、3~5泊程度のダイブクルーズで潜り巡るのが一般的だ。 宿泊設備が整ったクルーズボートは常に器材とタンクがセットされた状態で、重い器材をしょって移動する手間もないのでダイビングするには申し分ない環境。 また数日間船上にいると世界各国の仲間もできやすく、クルーズならではの楽しみも多い。
ほとんどのクルーズボートが1日 4~5本潜れる設定なので、1回のツアーで合計20本近く潜れてしまう。
クルーズコースは何パターンもあって、ケアンズから洋上を北上しながら潜るコース、ケアンズの北部に浮かぶリザード島から南下して潜るコース、ケアンズの南部の街・タウンズビルからグレートバリアリーフを突き抜け外洋のコーラルシーを目指すコースなどクルーズボートや日程によって選べるようになっている。
まさに星の数ほどもあるポイントの中でも人気は、体長1.5mほどのポテトコッド(カスリハタ)が群れる「コッドホール」や、外洋のド真ん中にオリを沈め無数のサメたちの食事風景を鑑賞する迫力満点の「スクーバ・ズー」など。
また、日帰りのデイトリップでリーフ内のポイントを潜ることもできこの方法をとれば、ケアンズのリゾートでゆっくりしながら毎日気ままにダイビングできるといったメリットもあり、船に弱いダイバーには人気が高まっている。
またケアンズは、高級ブランドショップやレストラン、カジノまで揃う楽しく清潔な街で、歩いているだけでも楽しい場所。
日程に余裕がある場合は、街からすぐのもうひとつの世界遺産、熱帯雨林ツアーなどもオススメだ。
日本各地からケアンズへ直行便も多数就航。
成田からケアンズまでは所要時間約7時間と驚くほど近い。
着いたその日にクルーズに乗船する場合は、空港からホテルを経由してクルーズボートまで、ダイビングサービスが送迎をしてくれる。

定員20名前後のクルーズボートを基地にして、朝から晩まで潜りまくるのがGBRクルーズ。
長い移動は夜間に行われるので目覚めるといつもそこには新しいポイントがある。
朝食前に1本、昼食前後に1本づつ、夕方前に1本、さらには日によってナイトダイブも開催されるので1日4~5本、ラクに潜れてしまう。
クルーズボート内は、個々の部屋、食堂も兼ねたリビングルーム、エントリー&エキジット時の利用するデッキ、船の最上段にあるサンデッキなどにわかれる。
部屋はリゾートホテルほど広くはないが、ダイビングの合間にベッドメイキングをしてくれたり電源コードがあったりと不自由はあまりない。
クルーズボートによって、ゲストのほとんどが日本人だったり、世界各国からのゲストが多かったりと個性があるのも面白い。
デイトリップの場合は、午前午後1本づつが多く、アフターダイブは街に繰り出したりできるのがメリット。
ただ、ダイブクルーズでないと行けないポイントも多いのでツアー選択は慎重に。
冬にあたる7~9月は水温が23~24℃と低くなるので5mmフルスーツが必要。
その他のシーズンは25℃~28℃と上昇するが、30℃前後になることはあまりないので、1年中5mmフルスーツが無難。
クルーズの場合、3点セット、重器材などのレンタルも可能だが事前の予約が必要。 また、毎日2本以上潜ることが多いので、自前のダイブコンピュータは必携。
また水着が乾く間もなく次のダイビング、という場合が多いので2セット以上持っていくのが無難だろう。

ハードコーラルがいたるところに繁茂しているので、フィンキックには十分注意したい。
ドロップオフのポイントも多いので中性浮力のスキルも万全にしておきたい。 ただ、潮流が激しいポイントはほとんどないので、ビギナーでもチャレンジが可能だ。

浅瀬でのんびりといったポイントもあるので、中性浮力の練習やその他気になるダイビングスキルのおさらいなどにチャレンジするのもいい。
また、毎ダイビング前にはスタッフによるブリーフィングが行われる。
日本人ガイドが乗船していない場合は全て英語で行われるので、「depth(水深)」「current(潮流)」「visibility(透明度)」といった単語は覚えておいてブリーフィングでわからなかった質問するとダイビングがより充実するだろう。
船上では常にスタッフが一緒なので、海のことや魚のことなど情報交換をマメに行うと次のダイビングがさらに楽しくなるはず。
また、世界各地からのダイバーが集うクルーズでは、写真の多い海の雑誌や小さな楽器などを持っていくと、彼らと楽しく交流できるのでオススメ。
南半球のオーストラリアは4月から11月の冬の時期に乾燥し、12月から3月の夏の時期に湿気が多くなり多少雨が増える。 とはいえ、1年のうちクルーズが出航できないほどの悪天候は1回あるかないかという安定したコンディション。
透明度もGBR内で平均30~40m、 外洋のコーラルシーでは常時50m程度と良好。
ギンガメアジ、バラクーダなどのヒカリモノ系、ポテトコッドはシーズン問わず姿を現すが、可愛いミンククジラは5~7月限定の見物。
気温、水温、透明度、水中の見物と、多少の差異はあるが、1年通してあまり変化しないのがGBRの特徴でもある。

多くのダイブクルーズが最終目的地に設定している人気ポイント。
ケアンズの北約230kmの洋上にあり、水深15~20mの水底付近には体長1.5mほどもあるポテトコッド(カスリハタ)が10~20匹、ダイバーの訪れをいつも待っている。

エントリー直後は、ダイバーの周りをなんとなく泳いでいるコッドたちも、ガイドが水底付近でエサをバラまきはじめると途端に密集して近くで見ているダイバーにもジャレはじめる。
ダイバーによく慣れたコッドは体スレスレのところを泳ぎ回ってエサをおねだりする。

中層に目をやると、ロウニンアジやナポレオンがいつもおこぼれを狙っていて賑やかな水中を演出してくれている。
潮流も穏やかなのでビギナーでも安心のダイビングが可能だ。

GBRクルーズの中心となるリボンリーフNO.9とNO.10の間に位置するポイント。
巨大な根のトップは水面スレスレに隠れていて洋上からだと見えない隠れ根になっている。
この柱のような根は水深30m付近からイッキに立ち上がっていてその岩肌にはサンゴがビッシリ。
付近には常時、ギンガメアジやロウニンアジが群れていて迫力の光景が展開している。
GBRの固有種であるバリアリーフアネモネフィッシュやスパインチークアネモネフィッシュなども見られるし、他のポイントではなかなか見られないハダカハオコゼやウコンハネガイなどもチェックできる。

こちらもピクシーピナクルと同様の隠れ根で、水深35mから水深3m付近までサンゴの塔がそびえるような格好が印象的だ。
魚影の濃さはGBR中でもトップレベルで、ギンガメアジ、バラクーダ、ヨスジフエダイなどがダイバーの視界をさえぎるほど。
サンゴがビッシリの根のトップにはキンギョハナダイやアカネハナゴイが花吹雪のように群れていて彩りを添えている。
細かいことを考えずにただ群れを眺めて楽しむといったダイビングスタイル。
ピクシーピナクル近くのポイントでヒカリモノ以外の群れが印象的な水中だ。
水深25m付近から突き出る根が二つ並びその間にはヨスジフエダイ、ウメイロモドキ、タカサゴ、バラフエダイなどが賑やかに群れている。
また、6月から8月のシーズンにはミンククジラが高確率で見られることでも有名で、多い時には1本で10頭程度出没することもある。
ケアンズの真東にあるこのポイントは、1~2泊程度のヨンガラレッククルーズで潜ることができる。
1900年代に沈んだ全長110m,3663tの巨大な貨物船ヨンガラ号は長い年月の間にソフトコーラルがビッシリと付着し、多くの魚の団地と化している。
ここでは、沈船を見てスリルを味わうというより、フィッシュウォッチングを楽しむ方が正解だ。
周囲には常時、ロウニンアジ、マダラエイ、ツバメウオ、フエダイの大群などをチェックでき、どの魚もたっぷりと太って巨大化しているのが印象的だ。

GBRの外洋に広がるコーラルシーで人気ナンバーワンのポイント。
コーラルシーへコースをとるクルーズボートでないと潜れないため、ダイバーの数も少なく水中はほとんど荒れていない。
コーラルシー最大の魅力はなんといってもその透明度。
地図を見てもわかる通りさえぎるもののない外洋のまっただ中は、常時50オーバーの驚異的透明度を誇る。
水深35m付近から立ち上がるビルディングのような根の周りにはギンガメアジが数百匹単位で群れていて、潮によってはこの群れに丸まると太ったイソマグロがからんでくる。
根には2mほどの巨大なイソバナがいくつも付着し潮通しの良さを実感できる。
コーラルシーの透明度を最も実感できる壮大なポイント。
豪快なドロップオフは水深5m付近からイッキに500mほどの水深まで落ち込む迫力。
この壁面にはビッシリとイソバナが付着し巨大なビルディングが飾られているかのようだ。 この壁が延々と水底まで続いているのをハッキリと目視できる透明度の良さ。
良い時には60~70mほども抜け、気持ちの良さはGBRでもトップレベルだ。
ウメイロモドキやタカサゴなどが壁の周囲を優雅に舞っているが、ここではただひたすら壮大なドロップオフを体感し、透明度を楽しみたい。
GBRの中にあるミルンリーフというリーフにあるポイント。
コーラルシークルーズで行き帰りに潜るリラクゼーションポイントだ。
付近でもなかなかお目にかかれない美しい白砂の水底は、天気の良い日だと太陽の光を反射してまぶしいくらい。
テーブルサンゴももちろん豊富だが、イキイキとしたエダサンゴも多く、これらのサンゴがなだらかな白砂にいっそう映える。
コッドホールやコーラルシーなどとはまた違ったGBRの一面を垣間見られる。